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事例二 VILLA IN KAIKOH

岡田哲史 先生 事例02
建築家から見る水澤工務店
私にとって水澤工務店は雲の上の存在でありつづけてきました。
建築家人生に一度でも仕事でご一緒にさせていただけること、かつてそれじたいが私の夢でした。水澤工務店が建築を扱う職能としてわが国で最高水準にあることはいうまでもありませんが、幸運にも今回初めて仕事をご一緒させていただき、それよりずっと大切なことに気づかされました。

それは水澤工務店の仕事に携わる人々の謙虚さです。私自身、なにごとに対しても最高水準を目指すためには、人はまずもって謙虚でなければならないと信じています。私もこれまでいろいろな経験を重ねてきましたが、ほんものと云われる人々に通底している最も本質的な特質はそこにあります。その一点を共にすることができれば仕事は楽しく進み、おのずと優れて美しいものが生まれてきます。

水澤工務店は、そうした人間関係を築くことのできる数少ない業者のひとつです。
水澤工務店の建物の魅力とは?
水澤工務店の建物の魅力は、なにより施工が洗練されており、最高度の水準を誇れるところです。
建築家から見た建物に対するコンセプト
建築家から見た建物に対するコンセプトのイメージ
まず私の建築設計に対する基本的な姿勢からお話します。設計は設計者の教養や技能に左右されると思われがちですが、依頼者も設計者も所詮は人間。その人間関係に多くが委ねられるものです。ですから、私は、設計の御縁でめぐりあった依頼者とは、建築の話だけでなく趣味の話などもしながら、その都度愉しいひとときを過ごすことを大切にしています。

私の設計に関するアイデアや計画案は、依頼者と対話をしているあいだに生れてくることがほとんどです。依頼者が異なれば、敷地も異なり御要望も異なりますから、生まれる建築も自ずと異なります。五年ほど前からは、「私のコンセプトは・・・」などと我を張ってみたところで仕方がないと諦めるようになりました。ちなみにこの感覚は、碁を打つ方であれば「相手にもたれて打つ」感じと似ています。

私は人間の直感(直観)を信じています。建築は理論で成り立っているように考えられる向きもありますが、実は本当に優れて美しい建築は理論では計りきれない魅力を有しています。このことは建築に限らず、この世の中の全ての事柄について共通しているような気がします。私は、その空間を実際に体験してみて初めてしみじみと味わえる建築のクオリティをずっと追求しつづけてきました。音楽でも同じことがいえます。たとえば美しい音にじかに接したとき、人は一瞬に鳥肌を覚え、しばし安らかな心地に浸れるものです。その感覚は建築にも当てはまります。そうした建築をこの世に実現させることが、私に課せられた仕事であると考えています。

さて、海光の家について。この家は太平洋に面した落差の大きい崖地にたっていますが、さまざまな空間を経験しながら、太平洋の豊かな景色を楽しめる建築の実現をめざしました。それは、眼のまえに立ち現れる風景が時々刻々と移りゆく陽光とともに幾通りにも変化し、各々の空間でゆったりとくつろぐだけでなく、建物のなかを歩き廻ることそれじたいが楽しくなるような空間を内包する建築です。
 
建物に対するこだわり
私の設計では、人を包み込む大きな空間の骨格から手で触れられる小さなディテールまで、徹底して高いデザイン・クオリティを追求しています。僭越ながら、デザインのクオリティを最高度に上げて設計する自信はあります。しかしながら、なにごともやりすぎは眼に毒です。そこで私がいちばんたいせつにしていることは「どこで手を止めるか」です。そのバランス感覚こそが最も肝要であると考えます。最終的に美しい建築をつくれるかどうかはその一点に尽きるとさえ思われます。

実はこの話は、二十年ほど前に私が博士論文をまとめる際に扱った18世紀イタリアの建築家ピラネージの名言に由来します。美を生み出すレシピはそれを扱う適性を得た人間の感覚に刻まれているという話です。建築の機能的側面は理論で計れても、美的側面が理論では計れないのは、そのバランス感覚が文字や図面で教育できるような代物ではないからです。人々に心にうったえかける美しい建築は感性の賜物といわれる所以は、そこにあります。
DATA
【VILLA IN KAIKOH】
設計:岡田哲史建築設 計事務所
構造:鉄筋折板構造
面積:576.26㎡
竣工:平成22年