技術だより

2018年8月21日 火曜日

稲子(いなご) ~語源と技術~

付け稲子、竹稲子、本稲子、稲子釘などの種類があり、稲子は差すと言う。
羽重ね張り天井板の矧ぎ目(はぎめ)や継ぎ目に、稲子を天井裏につけてその隙を防ぐ工法である。
現在では、無垢の巾広天井板を使用するような仕事が少なくなり、合板下地に単板張りやプリントの天井板が主流になってしまい、板の伸縮等を考慮する稲子を使うような仕事が無くなりつつある。
木造伝統技術の素晴らしさは、無垢の木を生かす技術から生まれている。
見た目がよく、いかに安く効率よく造る今日的技術では技術面での継承は無くなるだろう。
本当の技術を残すために考えなければならないことは、表面に現れてこない内的要素がどうなっているのかを技術的に「時間を掛けて理解する」とともに、造られるものを「生きものとしてとらえる」ことが重要なファクターになるのではないだろうか。

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2017年12月21日 木曜日

ひかり付け  ~語源と技術~

数寄屋建築では、自然を大切にする技の心に「ひかりつける」という仕事がある。
特に丸太仕事では丸太を柱に仕立てるために、まず柱を根石(自然石)の上に立て、上部は桁を受ける姿になる。
柱の足元は根石(自然石)の凹凸に合わせ、柱の上部は桁の形状にあわせてひかりつけている。
元と末の太さの異なる丸太を、いかに自然の木立をイメージした美しさに加工し組み立てていくかが要になる仕事の一つである。

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2017年7月 6日 木曜日

雑巾摺(ぞうきんずり) ~語源と技術~

一般的には壁と床板や棚板が接する部分に取付ける細木で、雑巾が直接接触するなどして、壁の汚れや破損を防ぐ目的で目立たないように入れられる部材である。
壁際まで手を使って丁寧に掃除をする感覚から生まれた小さな部材と思われる。

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2016年12月26日 月曜日

含み(ふくみ) ~語源と技術~

日本人は「含み」を持たせた言い方が好きなどと言われています。
建築で言う「含み」とは、他の部材に大入れになった部分をいい、建具では上下框を决って内法溝に入るようにした部分をいいます。
いずれにしても、この「含み」とは、表面にあらわれにくいところに意味があり、数寄屋建築のファクターを含んだ言葉のように思われます。

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2016年7月25日 月曜日

むくり(起り) ~語源と技術~

「むくり(起り)」とは、上方に対し凸型に湾曲している曲線/曲面を言い、この反対を「そり(反り)」または「てり(照り)」と言います。
そり屋根は寺社仏閣や城郭に多く見られ、むくり屋根は数寄屋建築や茶室に見ることができます。
どちらも視覚的な効果を主な目的にしたもののようです。
一概には言えませんが、イメージとして「そり」は"きらびやかな鋭さ"を、「むくり」とは"控えめなやさしさ"を表現しているように思われます。
ちなみにスカイツリーの設計コンセプトにも、日本の伝統文化に見られる「そり」と「むくり」が活きているようです。

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